「情シスが抱える課題が多すぎて、どこから手をつければいいか分からない」
「人手不足やセキュリティ対策に追われ、本来の業務が進まない」
そんな悩みを抱える企業は少なくありません。
結論からいうと、情シスが抱える課題は「人材・組織面」と「技術面」の2つに大きく整理でき、それぞれに合った解決策を組み合わせることが重要です。やみくもに対処するのではなく、課題を分類して優先順位をつけることが解決の第一歩になります。
本記事では、情シス代行で年間対応件数17万件超のサポート実績を持つ弊社が、情シスが抱える課題を整理し、その解決策までをわかりやすく解説します。
1.情シスが抱える課題の全体像

情シスの課題は数多くありますが、整理すると「人材・組織面」と「技術面」の2つに分けられます。まず全体像を早見表で把握しましょう。
| 分類 | 主な課題 |
|---|---|
| 人材・組織面 | IT人材の不足、ひとり情シス・属人化、業務過多、コストセンター扱い |
| 技術面 | セキュリティの高度化、システムの複雑化・老朽化、ネットワーク・データ管理、働き方の多様化への対応 |
多くの企業では、これらの課題が単独ではなく連鎖して起きています。人材不足が業務過多を生み、業務過多がセキュリティ対策の遅れを招く、といった具合です。だからこそ、目の前のトラブルを場当たり的に処理するのではなく、課題を分類して優先順位をつけることが欠かせません。自社の課題がどこに当てはまるかを把握すると、限られた人員と予算をどこに振り向けるべきかが見えてきます。
2.人材・組織面の課題

情シスの課題のうち、もっとも根深いのが人材と組織にまつわるものです。代表的な4つを解説します。
2-1.IT人材の不足
情シスの課題の根底にあるのが、IT人材の慢性的な不足です。経済産業省の試算では、2030年に最大で約79万人のIT人材が不足するとされています。
背景には、需要と供給のギャップがあります。DX推進やクラウド移行、セキュリティ強化、生成AIの活用など、企業がITに求める領域は年々広がる一方で、育成が追いついていません。情シスに必要なスキルはインフラ・ネットワーク・セキュリティ・クラウドと幅広く、ひとりで全領域をカバーできる人材はそもそも希少です。
限られた人材は待遇の整ったIT企業や大手に集まりやすく、中小企業の求人には応募が集まりにくいのが実情です。人材を確保できないまま社内のIT業務だけが増え続け、既存の担当者にしわ寄せがいく状況が、以降のすべての課題の出発点になっています。
2-2.ひとり情シス・業務の属人化
人材不足の結果、担当者1人で社内ITを支える「ひとり情シス」や、他部署と掛け持ちの「兼任情シス」が増えています。一般社団法人ひとり情シス協会の調査では、従業員100名超の中堅企業でも約3割でひとり情シスが発生しているとされ、小規模企業だけの問題ではありません。
ひとり情シスで深刻になるのが、業務の属人化です。日々の対応に追われて記録やマニュアルを残す余裕がなく、運用手順や設定がその人の頭の中にしか存在しない状態になります。
たとえば、長年ひとりで担当してきた人が急に退職すると、サーバーの設定情報や管理者パスワード、ベンダーの連絡先すら分からず、トラブル時に誰も対応できなくなります。担当者の不在がそのまま社内IT全体の停止につながるうえ、後任への引き継ぎも困難を極めます。属人化は、いざというときに致命的なリスクとして表面化する課題です。
2-3.業務過多による負担増
情シスの業務は、システムの運用・保守、ヘルプデスク、PCのキッティング、アカウント管理、セキュリティ対策、IT資産管理まで多岐にわたります。少人数でこれらを抱えると、慢性的な業務過多に陥ります。
大きな理由は、「ITのことは何でも情シス」という社内の空気です。専門外の雑務まで持ち込まれ、業務範囲が際限なく広がります。そこに障害対応のような突発業務が入ると、計画していた作業が後ろ倒しになります。
たとえば、戦略的なシステム改善を進めたくても、日中は「パソコンが動かない」「パスワードを忘れた」といった問い合わせ対応で潰れ、まとまった作業は残業や休日に回さざるを得ません。残業が常態化し、貴重なIT人材が疲弊して離職、さらに人手不足が深刻化する悪循環に陥ります。
2-4.コストセンターと見なされやすい
情シスは直接の売上を生まないため、経営層から「コスト部門(コストセンター)」と見なされ、予算や人員が後回しにされがちです。
これは、情シスの仕事がトラブルなく動いて当たり前と思われ、成果が数字で見えにくいことが原因です。営業のように売上で貢献を示せないため、投資の必要性が経営層に伝わりにくく、増員やシステム刷新を提案しても十分な予算が下りないことがあります。
予算が付かないとシステムは古いまま放置され、トラブルが増えて対応に追われ、さらに忙しくなります。成果が出せないからさらに評価されず、予算も付かないという負の連鎖に陥るのです。この悪循環を断つには、情シスが生み出す価値(障害の未然防止やコスト削減効果)を可視化し、経営層の理解を得ることが欠かせません。
ココがポイント
人材不足から「ひとり情シス・属人化・業務過多」が連鎖し、コストセンター扱いで改善の予算も付きにくい。人材・組織面の課題は互いに絡み合っている
3.技術面の課題

人材・組織面に加えて、技術の進化に伴う課題も年々大きくなっています。主な4つを整理します。
3-1.高度化するセキュリティへの対応
情シスの技術面で最も重い課題が、高度化するサイバー攻撃への対応です。ウイルス対策ソフトを入れているだけでは、もはや防ぎきれません。
攻撃の手口が年々巧妙になっているためです。ランサムウェアやフィッシング、取引先を踏み台にするサプライチェーン攻撃など手法は多様化し、標的も対策の手薄な中小企業へ広がっています。
たとえばランサムウェアに感染すると、社内データが暗号化されて業務が停止し、復旧に数百万円規模の身代金を要求されることもあります。被害は金銭だけでなく、顧客情報の流出による信用失墜や取引停止にまで及びます。一方でセキュリティの専門人材は不足しており、パッチ適用や監視といった基本対策すら後回しになりやすいのが実情です。テレワークで社外アクセスが増え、守るべき範囲が広がったことも対応を難しくしています。
3-2.システムの複雑化・老朽化
長年使ってきたシステムが複雑化・老朽化していくことも、大きな課題です。機能追加や連携を重ねるうちに、全体像を把握できる人がいなくなっていきます。
担当者が代わるたびに引き継ぎが不十分になり、システムの中身がブラックボックス化するためです。経済産業省が「DXレポート」で警鐘を鳴らした「2025年の崖」は、まさにこの問題を指したものでした。
古いシステムを使い続けると、維持・保守にコストと人手が奪われ、新しい技術に投資できなくなります。さらにメーカーのサポートが終了するとセキュリティパッチも提供されず、攻撃に無防備になります。トラブルが起きても誰も直せず、事業そのものが止まるリスクを抱えることになるため、現状を棚卸しして計画的に見直すことが求められます。
3-3.ネットワーク・データ管理の負担
クラウドサービスの普及で、ネットワークやデータの管理範囲は広がり続けています。これも情シスの負担を着実に増やす要因です。
管理対象が社内の機器だけでなく、複数のクラウドサービスやSaaSにまたがるようになったためです。社内外の通信を安定させ、増え続けるデータを安全に保管・バックアップする必要があります。
たとえばバックアップは、取得しているつもりでも、いざというときに復元できなければ意味がありません。データを複数の場所に分散保管し、復元できるか定期的に確認する運用が求められます。また、社員が無断で便利なクラウドを使い始める「シャドーIT」が広がると情報漏えいの温床になります。可用性とセキュリティを両立させながら広い範囲を管理するのは専門知識を要し、片手間では対応しきれません。
3-4.働き方の多様化への対応
テレワークやハイブリッドワークが定着し、情シスには「どこからでも安全に働ける環境」の整備が求められています。これも近年大きくなった課題です。
従来の「社内ネットワークの中だけを守る」という考え方では、社外からのアクセスに対応しきれないためです。
具体的には、社外から社内へ安全に接続するVPNや、利用者・端末を毎回確認してから接続を許可する「ゼロトラスト」の考え方を取り入れる企業が増えています。加えて、スマートフォンを一元管理するMDM(モバイルデバイス管理)の導入、端末紛失時のデータ消去、私物端末の業務利用(BYOD)のルール整備など、対応範囲は一気に広がりました。働き方が変わるたびに新しい技術やルールへ見直し続ける対応力が、情シスに求められています。
4.情シスの課題を解決する5つの方法

ここまで見てきた課題は、次の5つの方法を組み合わせることで軽減できます。負担を減らしやすい順に紹介します。
- 業務を棚卸しして範囲を明確にする
- マニュアル・FAQで業務を標準化する
- 社員のITリテラシーを高めて問い合わせを減らす
- クラウドやツールで自動化する
- アウトソーシングで専門性を補う
4-1.業務を棚卸しして範囲を明確にする
最初に取り組むべきは、情シス業務の棚卸しです。何にどれだけ時間がかかっているかを可視化することが、すべての改善の出発点になります。
現状が見えていなければ、どこに無駄があり、何を優先して手放すべきか判断できないためです。
進め方としては、情シスが担う業務を「日常運用」「定期作業」「突発対応」に分類し、それぞれにかかる時間と頻度を書き出します。すると、問い合わせ対応に想像以上の時間が割かれている、特定の作業が属人化している、といった実態が見えてきます。そのうえで「自社で続けるべき業務」と「任せられる業務」を仕分けます。あわせて『どこまでが情シスの担当か』を社内で共有しておけば、範囲外の依頼が集中するのを防げます。
4-2.マニュアル・FAQで業務を標準化する
次に、手順が決まっている業務はマニュアル化し、よくある問い合わせはFAQにまとめます。業務の標準化は、属人化を防ぐ最も確実な手段です。
手順が文書として残っていれば、担当者が不在でも別の人が同じ品質で対応でき、引き継ぎや教育の負担も下がるためです。
たとえば、機器の再起動手順、アカウントの発行・停止の流れ、障害発生時の連絡フローを文書化しておけば、担当者の急な休みや退職にも組織として対応できます。さらに、問い合わせの多い内容をFAQにまとめて社内ポータルに公開すれば、社員が自分で解決できるようになり、情シスへの問い合わせ件数そのものを減らせます。作って終わりにせず、定期的に更新することが大切です。
4-3.社員のITリテラシーを高めて問い合わせを減らす
社員向けのIT教育も、情シスの負担軽減に効果的です。社員一人ひとりのITリテラシーが上がれば、日常的なトラブルの自己解決が進みます。
情シスへの問い合わせの多くは、基本的な操作方法やパスワード再設定など、本来は社員側で対応できる内容が占めているためです。
具体的には、定期的なIT研修やセキュリティ講習、わかりやすい操作ガイドの配布などで、基礎知識を社内に浸透させます。たとえば「不審なメールの見分け方」を全社で共有するだけでも、フィッシング被害のリスクは下がります。その結果、問い合わせが減って担当者がより重要な業務に時間を割けるようになり、セキュリティリスクの低減にもつながります。
4-4.クラウドやツールで自動化する
定型業務は、クラウドサービスやツールで自動化しましょう。手作業を減らせば、担当者の負担とヒューマンエラーの両方を削減できます。
監視やバックアップ、IT資産管理などは、人が常に張り付かなくてもツールに任せられる業務だからです。
たとえば、サーバーの監視を監視ツールに任せ、異常を検知したときだけ自動通知する仕組みにすれば、常時画面を見張る必要がなくなります。IT資産管理ツールを使えば、PCやライセンスの棚卸しも自動化でき、契約の払い過ぎや管理漏れも防げます。オンプレミスからクラウドへ移行すれば、サーバーの保守負担も軽くなります。定型作業を自動化した分、情シスはトラブル対応や戦略的な業務に集中できます。
4-5.アウトソーシングで専門性を補う
社内のリソースだけで解決が難しい場合は、情シス業務のアウトソーシングが有効です。採用に頼らず、すぐに専門性を確保できる方法です。
IT人材の採用には時間もコストもかかりますが、外部委託ならその空白期間を埋め、即戦力の知見を取り入れられるためです。
たとえば、ヘルプデスクや運用保守、セキュリティ監視といった専門性の高い業務を外部に任せれば、専門人材を雇用せずに高品質な対応を確保できます。「負担の大きい業務だけ」「夜間・休日だけ」といった部分委託も可能です。専任者を雇用するより低コストで、複数人体制のため担当者の退職や不在で業務が止まる心配もありません。業務を外部と共有することでブラックボックス化を防げ、属人化の解消にも直結します。人材・組織・技術の課題を一度に補える点が、アウトソーシングの強みです。
5.情シスの課題解決はトータルITヘルパーにお任せ
「課題は分かったが、自社だけで解決するのは難しい」。そんな企業には、弊社「トータルITヘルパー」の情シス代行サービスがおすすめです。専門知識を持つ167人のスタッフが、年間17万件・過去100万件の対応実績をもとに、人材・組織・技術の課題を総合的に支援します。
5-1.導入事例
これまで、企業規模や課題に応じてさまざまな形で支援してきました。代表的な例を紹介します。
| 企業規模 | 抱えていた課題 | 支援内容と効果 |
|---|---|---|
| 従業員2,000名規模 | ヘルプデスク対応に担当者が追われ、本来業務が進まない | 社内ヘルプデスク業務をすべて代行し、情シスがコア業務に専念できる体制へ |
| 従業員150名規模 | ひとり情シスで管理負担が過多、属人化が深刻 | 運用・保守を引き継ぎ、管理負担を大幅に削減。属人化も解消 |
| 従業員70名規模 | 専任者がおらず、トラブル対応が後手に | ヘルプデスクと資産管理を委託し、コア業務に集中できる環境を構築 |
小規模から大企業まで、解決率97%・94%のお客様がコストダウンを実感しています。
5-2.PC1台あたり月額3,000円~で業務を代行
情シス代行プランはPC1台あたり月額3,000円~。ヘルプデスクや運用保守、トラブル対応まで幅広くカバーします。問い合わせ対応だけ任せたい場合は月額2,000円~のヘルプデスクプランもあり、必要な範囲から段階的に始められます。
ネットワーク・サーバー・複合機などさまざまな機器を扱うIT総合商社の基盤があり、幅広く柔軟な対応が可能です。情シスの課題でお困りなら、お気軽にご相談ください。
6.よくある質問(FAQ)
Q. 情シスの課題は何から手をつけるべき?
まずは業務の棚卸しから始めるのがおすすめです。何に時間がかかっているかを把握すると、優先して解決すべき課題が明確になります。
Q. 一部の課題だけアウトソーシングで解決できる?
できます。ヘルプデスクだけ、運用保守だけといった部分委託が可能です。負担の大きい業務から段階的に任せる方法が現実的です。
7.まとめ
情シスが抱える課題は、「人材・組織面」(IT人材不足・属人化・業務過多・コストセンター扱い)と「技術面」(セキュリティ・システム老朽化・データ管理・働き方対応)に整理できます。これらは互いに絡み合っており、課題を分類して優先順位をつけることが解決の第一歩です。
解決には、業務の棚卸しや標準化、ITリテラシー向上、自動化を進めつつ、負担が大きい部分はアウトソーシングで専門性を補うのが現実的な進め方です。
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