この記事では、事業の中で重要な役割を担っているポジションであるにも関わらず、その重要性が理解されていない情報システム部の役割について解説します。また、情報システム部に求められる役割は変わってきつつありますが、記事内ではその傾向についても触れています。
今回の内容を読めば、情報システム部の役割や課題、さらにその解決方法を知ることができます。
目次
情報システム部はどんな部門?
情報システム部門は主に、社内におけるITの専門家としてITを使った経営課題の解決や新たなサービスを生み出す仕事を行っています。例えば、自社商品の販売情報を電子データとして保存し分析するシステムの開発、システムが安定稼動しているかどうかの監視、社員からの社内システムに関する問い合わせ対応などが挙げられます。
情報システム部門の役割が重要視されるようになったのは、パソコンが企業で使われだしたころからです。パソコンの導入と同時に、企業内の在庫や受注状況などを離れた事業所同士で共有できるよう、社内システムが組まれるようになっていったのが始まりです。
一度構築したシステムは毎日運用されるため、定期的にメンテナンスを行う必要があります。そこで、情報システムの管理を定期的に行っていくために、専門の部署が必要となってきました。電算室と呼ばれる部署が企業の保守を一手に引き受けだし、それがやがて「情報システム部」と呼ばれるようになりました。
情報システム部は、今では社内向けのシステムだけではなく、顧客向けのサービスを運用・保守を行う部署として、なくてはならない存在です。
●情シスの仕事内容を詳しく知りたい方はこちら↓
情報システム部に求められる役割
企業の中で情報システム部に求められる役割は主に以下の4つです。
- IT戦略・システム企画
- 基幹システムの構築・運用・保守
- 社内インフラの構築・運用・保守
- サービスデスク・ヘルプデスク
以下に詳しく解説します。
1.IT戦略・システム企画
会社の経営戦略や事業戦略に基づき、システムの企画立案・要件定義をする役割です。社外ベンダーの見積もり検討・選定、およびその後のプロジェクトマネジメントを遂行し、ユーザー部門に対して新しいシステムを開発・提供します。
2.基幹システムの構築・運用・保守
社内ユーザー部門からのリクエストや業務プロセスの変更に応え、既存システムのカスタマイズなどを実施します。システムを安定稼働させ、会社の事業活動を下支えする役割を担います。
3.社内インフラの構築・運用・保守
自社サーバーやネットワークの構築・運用・保守を行いつつ、セキュリティ対策やデータ保全を実施し、万が一の事態に備えます。また新技術・製品の導入検討や評価を行って、常に社内環境のサービス向上に努める役割を担っています。
4.サービスデスク・ヘルプデスク
サービスデスク・ヘルプデスク業務では、社内ユーザーや顧客からの問い合わせ対応・トラブルシューティングを行います。ツールやシステムの導入サポートのほか、新卒者や転職者へ社内システムの教育を実施し、社員一人ひとりの円滑な業務遂行を支援する役割を持ちます。
情報システム部はいらない?
企業にとって重要な役割を担う情報システム部ですが、不要論を唱える企業も存在します。しかし、これは本来の意図とは異なり、誤って「情シス部自体が不要」と捉えてしまっている場合が多いため注意が必要です。
情報システム部に対する不要論が注目されるようになったきっかけのひとつが、2013年に実施された情報システム部門の課題に対する調査結果です。これは全世界のCIO(Chief Information Officer:IT部門を統括する役職)を対象にした、CIOが抱える次年度の課題についての調査です。
公開されている調査結果によれば、IT戦略上「ITコストを削減する」の優先順位が世界的にランクを下げているようです。これは、IT戦略において「ビジネス・ソリューションを提供する」が相対的に重視されているためで、ITの位置づけが「コスト削減」のような「守り」から、成長戦略に貢献する「攻め」にシフトしつつあるためといえるでしょう。
上記のような背景があり、企業のシステムを守るだけの「従来型の情報システム部門」には不要論が唱えられるようになりました。つまり、「情シス部自体が不要」とする解釈は誤りなのです。
また、近年ではAIやIoTなどの普及により、さまざまな業務が簡略化できるようになってきました。そのため、多くの企業では直接的な利益につながらない情報システム部門をコスト部門と捉え、人件費の削減を行おうとしまいがちです。
このことも、誤った「情シス部不要論」が浸透する要因となっているといえるでしょう。
しかし、情報システム部門にかける経費を削減するのは、効率的とはいえません。
社内のIT資産やキッティング、新システムの導入などは主に情報システム部が担当しており、これは企業にとっても重要な業務です。情報システム部を廃止してしまうと、これらの業務をそれぞれ他の部署で対応する必要が出てしまうため、とても非効率です。
さらに、経費の削減により情報システム部の人材が不足すると、業務内容が多岐にわたる情シス部ではコア業務以外の業務に追われやすくなります。結果として、利益を生むはずの部署がコア業務に集中できなくなり、会社全体の生産性の低下も懸念されます。
つまり、情シス不要論とは、情報システム部そのものが不要といっているわけではなく、あくまで従来型の情報システム部に変革が迫られているだけなのです。
情シスそのものが不要というわけではない!
これからの情報システム部に期待される役割
全世界の脅威となった新型コロナウイルス感染症により、ほとんどの企業がテレワーク(在宅勤務)に移行せざるを得ませんでした。テレワーク移行のためのツールやシステムの整備などの突然現れた大きな仕事によって、IT部門のリソースが不足してしまった企業も少なくないでしょう。
「新しい生活様式」における企業活動には、これまで以上にITの力が必要になり、情報システム部門が担うITガバナンスやセキュリティマネジメントの在り方は、大幅な見直しを迫られています。
社内サーバーへのアクセス遅延や利用者急増によるリモートアクセスサーバのキャパシティオーバー、フリーWi-Fiなどの信頼性の低いネットワークを介したPCのマルウェア感染など、これまで見えてこなかったさまざまな課題が浮かび上がってきています。
また、企業が競争に勝ち残るためには、ITによる競争で優位に立つ必要があると考えられるようになりました。つまり、今までのシステム開発業務に加え、経営に直接寄与するような業務も求められるようになったのです。
情報システム部門は全体の統制をみながらも、経営層や各事業部門にIT活用をこれまで以上に提案する必要がでてきています。よって、これからの情報システム部は企業の生産性を上げるための舵取り役が求められるほか、自社の業務全体のビジョンを思い描いたうえで何が必要なのかを考え、的確に判断する力も必要です。
これからの時代を企業が生き抜くうえで、情報システム部に必要な能力は今までのような開発スキルやテクノロジーに関する知識だけでは足りません。つまり、これからの情報システム部には、経営面に関する事柄を含めた、幅広い知識や能力が求められているといえるのです。
情報システム部の課題とは?
社内のIT関連業務をほぼすべて手掛ける情報システム部ですが、そこには多くの課題もあります。
1.人手不足・スキル不足
企業の人手不足が叫ばれる昨今、特にITエンジニアは需要に対する絶対数が足りません。そのため、高い給与を提示できなければエンジニアが他社に流れてしまう状況がみられます。
また、IT人材の量と質が不足すると、システム運用でミスが発生したり、トラブル対応に時間がかかってしまったりと、業務に支障が出る場合があります。
2.コストセンター
サーバーリース代やソフトウェアの保守代など、IT関連の機材は高額です。知らない人からみれば、なぜこんなに高いのかと疑問に思われてしまいます。情報システム部は専門性が高い分、正しく理解してもらえないことが多いです。
コスト部門と捉えられてしまうと、コスト削減のために人員補充がされなくなってしまい、結果として人手不足に陥る要因にもなります。
3.「ひとり情シス」による業務改善の停滞
人材確保の問題や社内での情報システム業務の重要性の不理解から、社内に情報システム部が“ただひとり”の状態である「ひとり情シス」の体制をとっている企業もあります。
担当者が1名しかいない場合、本来はサブ的な業務であるはずのシステムの運用・保守、ヘルプデスク・サービスデスクなどの業務に日々、追われやすくなります。そのため、ひとり情シスの体制では将来的なIT戦略の企画や、システムの改修計画のブラッシュアップといった本来の業務ができなくなります。
4.テレワーク普及による課題
VPNの利用者が短期間で急増により、接続数増加によるネットワーク回線ひっ迫の対策や、これまで想定されなかったフリーWi-Fiなどの環境から社内ネットワークにアクセスする場合のセキュリティ対策、自己申告による勤怠管理など、さまざまな課題が浮かび上がっています。
●ひとり情シスの問題について詳しく知りたい方はこちら↓
情報システムは外注できるって知っていましたか?
人手不足といわれる近年では、優秀なエンジニアの確保は難しく、雇用するのに高額のコストがかかります。そのため、企業の中には社内にエンジニアを抱えるのではなく、専門集団にシステム管理等の業務を任せる企業も増えてきています。
IT部門の業務はシステムやインフラの構築以外に、イレギュラーに発生するキッティングやヘルプデスク・サービスデスクなどがあります。アウトソーシングを行う範囲はさまざまですが、これらのイレギュラー業務への対応に割いていた担当者の負担やコストを一部外注すると、社員が主業務に集中できる環境を整えられます。
また、IT技術の進化のスピードに対応し、最新技術を効率よく活用していくためには、高度なスキルを持った専門の人材を社内に抱える必要があります。しかし、IT業界ではない企業や中小企業でそのような人材の確保・育成は難しい状況です。
そこで、ITの専門家に外部委託(外注・アウトソース)すると、新しい技術に対する知見を持った人員に、安心してIT関連業務を任せられます。
情シス業務のアウトソーシングサービスを活用し、業務の一部を外部委託すれば、社内担当者の負担が軽減されるため、働き方改革につながります。情報システム部にとって、コア業務に注力できるのは大きなメリットです。
コア業務の遂行は企業の業務効率化につながるため、結果的に企業にも大きな利益をもたらすといえます。
さらに、アウトソーシングの活用は手間とコストの削減にもつながります。手間のかかる業務を外部に委託し、社内でのIT人材の確保・育成に関わるコストと手間の削減できれば、企業にとって多大なメリットとなります。
ココがポイント
アウトソーシング利用は企業にとって多くのメリットがある!
自社サービス【トータルITヘルパー】のご紹介
情シス業務を委託・外注する選択は企業にとって多くのメリットを生みます。そのため、情報システム部門の創設やコスト削減、ひとり情シス体制に悩む企業は、ぜひともアウトソーシングを選択肢として検討すべきです。
私たちの会社でも、情報システム部門のアウトソーシング先として、これまで30,000社以上との取引実績がございます。
もし、お困りごとやご不明な点がありましたら、お気軽に問い合わせください。