情報システム関連のトラブルは、業務停止や情報漏洩、顧客の損害など、大きなリスクを伴います。
高品質なシステムならトラブルは起きないと考えがちですが、実際にシステムを構築し運用しているのは人間です。
人的ミスやシステムダウンが発生する可能性は十分にあり、ゼロにすることはできません。
そのため、情報システムに問題が発生する前からトラブルへのリスクヘッジを知るだけでなく、迅速に対処できる体制を整えておくことが重要です。
そこで本記事では、情報システム関連でよく発生するトラブルの事例、トラブルを起こさないためのリスクヘッジ、トラブル対処の極意について解説します。
情報システムトラブルへの対策やプランを具体化できるので、ぜひ参考にしてください。
目次
1. 情報システムのトラブルの特徴・発生の原因
過去を見ても情報システムにはさまざまなトラブル事例がありますが、その多くは人的ミスが原因です。
とはいえ、「人的ミス以外に情報システムのトラブル事例がない」といった訳でもありません。
ここでは、情報システムでよくあるトラブルの特徴や発生する原因についてご説明します。
1-1. トラブル発生時の対処がマニュアル化されていない
情報システムに単純なトラブルが発生したとき、「スピーディに対処していれば業務やサービスに大きな影響を与えなかった」とされている事例があります。
トラブル発生から長時間影響が続いてしまう原因の多くは、トラブル発生時の対処がマニュアル化されていない背景も影響しています。
そのため、トラブル発生時の対処をまとめてマニュアル化する対策が重要です。
一方で、マニュアル化していても対策人員が足りていないケースも少なくありません。
最近、企業で流行している言葉に「ひとり情シス」があります。
ひとり情シスとは1つの企業に対し、システム業務を管理・対応できる社内SEが1人しかいない状況を指します。
情報システムのトラブルに対応できる人員が企業に1人しかいないため、システム担当が不在・退職した際に対応できる者がいなくなり非常に危険です。
ココがポイント
ひとり情シスとは、1つの企業にシステム業務を管理・対応出来る人材が1人しかいない状況を指す。
1-2. サーバーの処理速度・ハードウェアのスペックが不十分
事業を始めた際に購入したサーバーやハードウェアを、メンテナンスもなく使い続けることは非常に危険です。
情報システムを使い続けているうちにデータ容量が増えていくほか、古いサーバーの場合は最新版のアップデートが配信されず、セキュリティ面に脆弱性が現れてしまう可能性も。
古いサーバーやハードウェアのスペックが不十分な結果、情報システムが止まってトラブルに見舞われてしまう事例があります。
サーバーの処理速度やハードウェアのスペックは情報システムの運営で非常に大切な要素のため、システム要件等を振り返って、適宜機材の入れ替え検討が大切です。
1-3. セキュリティ対策が不十分
コンピュータウイルスは日々進化している一方で、それに対してのセキュリティ対策も日々進化しています。
そのため、「ウイルスソフト・セキュリティルーターを入れているから大丈夫」と安心している方もいるかもしれません。
しかし、「果たしてそのソフトやルーターは最新版にアップデートされているのか?」「古いままになっていないか?」などの確認を見落としており、ウイルス対策が突破されて情報システムにトラブルが発生してしまう事例も見かけられます。
システム担当者はこまめに確認を心がけ、セキュリティ・ウイルスのトレンドも調査しなければなりません。
1-4. チェック体制が確立できていない
先述した説明と重なってしまいますが、「ひとり情シス状態」など情報システムの担当者が会社に少ないと、チェック作業自体を怠ってしまう傾向にあります。
また、ただ一人の担当者としてその人自身が対応や設定をし、確認もその人が行うため、結果ミスが発覚してもその人が不在の場合に修正できないトラブル事例も。
チェック体制はもちろん、「ひとり情シス」状態では情報システムのトラブルに対処しづらくなってしまうため、適宜アウトソーシングなどチェック体制・システム管理の外注サービスを利用してみるのもポイントです。
ココがポイント
ひとり情シス状態では、情報トラブルに対処しづらくなるため、外注サービスを利用してみるのもポイントである。
2. 情報システム関連で起こりやすいトラブルの事例
情報システムにはさまざまなトラブル事例があり、それらを把握しておくと対処方法も検討しやすくなります。
ここでは、情報システム関連でどのようなトラブルが予想されるのか各事例をご説明します。
2-1. 社内システム停止・サーバーダウン
情報システムのトラブル事例でもっとも避けたい問題のひとつが「システムの全停止・サーバーダウン」です。
情報処理などが追いつかなくなりサーバーがダウンしてしまったり、なんらかのエラーでシステムが全停止してしまったりすると、会社全体の業務まで停止してしまう危険性があります。
結果的に会社全体に大きな損害を与える事例も多く、社内システムが停止・サーバーダウンしないように日々メンテナンス・迅速な対処を行える体制を整えることは非常に大切です。
2-2. サイバー・セキュリティ攻撃による情報漏洩
近年ニュースでも見かけられる「サイバー・セキュリティ攻撃による情報漏洩」は、企業としても避けたい情報システムトラブルのひとつです。
メディアなどでも、第三者によるハッキング攻撃により「大手企業から情報漏洩した」といったニュースを目にした方もいるかもしれません。
また、大手だけでなく中小零細企業もサイバー・セキュリティ攻撃による対象となっている点に注意が必要です。
メディアに出ていないだけで情報システムがハッキング攻撃されているトラブル事例は数多く、気付かないうちに、実はすでにサイバー・セキュリティ攻撃を受けているかもしれません。
2-3 データ損失
情報システムでよくあるトラブル事例が管理していたデータの損失です。
社内データや顧客情報などを始めとした重要データが消失してしまうと、企業として多大なダメージを負ってしまいます。
別サーバーにデータのバックアップを取っておくなど、事前の対策がなければ復旧することが難しいため、特に気をつけておきたいトラブルのひとつです。
3. 情報システム関連のトラブルを未然に防ぐためのリスクヘッジ
情報システムのトラブル事例では、事態が発生したあとに対処するよりも、トラブル発生前からのリスクヘッジが重要だと解説しました。
運用前のチェックだけでなく、運用開始後も常に改善・見直しを続ける対策が必要不可欠です。
新たな開発といった「攻め」の戦略ばかりにとらわれず、「守り」の戦略も同等に考えましょう。
ここでは、情報システム関連のトラブルを未然に防ぐためのリスクヘッジ方法をご紹介します。
3-1. チェック・メンテナンス体制の構築
情報システムのトラブル事例では、対処できる人員が少ないと再確認が遅れてしまうケースが多くなっています。
適切なチェック・メンテナンス体制を構築するために、違う人間によるダブルチェック環境は必要不可欠です。
また、サーバーに対してのノウハウも、”ひとり情シス”などの状況を避け、複数人が知識を蓄えて一定の対処ができるメンテナンス体制を整えておきましょう。
その際は、業務の代行サービスに委託するのもポイントです。
重要度の低いヘルプデスク対応を外注するだけでも、ひとり情シスの社内SEが本来の業務に注力しやすくなるため、チェック体制を自社内で構築しやすくなります。
ココがポイント
ヘルプデスク対応の外注だけでも、ひとり情シスの社内SEの負担が減るため、チェック体制を構築しやすくなる。
3-2. サーバーの処理速度・ハードウェアのスペックの改善
SaaSなど、使用しているシステムによっては年々要求スペックが少しずつ高まっています。
また、サービスの利用者数が増加したなど、サーバーの処理速度も現段階の運用状況に見合ったスペックを用意する対策が大切です。
そしてデータ量やスペックなどをこまめに確認して、なるべく大きな負荷がかからないように運用するのがベストです。
3-3. 万全なセキュリティ対策
情報システムの担当者は、日々進化するセキュリティ情報を常に蓄えておく必要があります。
また、導入しているアンチウイルスソフトウェアなどのバージョン確認や、各ハードウェア・システムに脆弱性がないか、適宜チェックしておきましょう。
また、社内システムにアクセスできる社員の不注意からトラブルに見舞われてしまう事例もあります。
ウイルス対策を始めとした危険性・対処方法を社員に周知するのも、万全なセキュリティ体制を構築するのに重要です。
セキュリティ対策に不安を覚える場合は、外部のコンサルを受けたり、セキュリティ対策に長けたIT人材を採用したりするのをおすすめします。
スピーディにセキュリティ対策へ取り組みたい場合は、情シスに優れたノウハウを持つ代行会社へアウトソーシングするのもポイントです。
3-4. トラブル対応のマニュアル化
情報システムを運営していてトラブルに見舞われたときは、発生した障害を取り除いたとき、その情報と対応策を必ず残しておきましょう。
同様のトラブルに見舞われないとも限らないため、今後を見越してマニュアル化する対策が大切です。
また、発生したトラブルから原因を振り返ったとき、ほかのトラブルまで発生するリスクに気付けるケースもあります。
それらを含めて、これから起こりうるトラブルを予防できるよう、事前の対策を練っておきましょう。
ココがポイント
トラブルが発生したときは今後を見越して、その情報と対応策をマニュアル化して残すことが大切である。
4. 情報システム関連のトラブル対処の極意
情報システムのトラブルが発生したときは、原因を見極め即座に対処する必要があります。
トラブル発生時の対応こそ、ユーザーから企業に対する信頼を大きく左右するポイントのひとつです。
ここでは、情報システム関連のトラブルに見舞われた際にすべき対処の極意をご紹介します。
4-1. 迅速な対応・説明を実施する
数分のシステム停止が社内、もしくは顧客の損失に繋がるため、迅速に対応をして障害情報や症状の説明を行いましょう。
説明が遅れてしまうと、顧客や利用者の不信感を煽りかねません。
トラブル原因の本格的な対処はひとまず置いておき、暫定的な対応で情報システムが再稼働できるよう調整するのもポイントです。
4-2. 暫定対応の後に本格的に原因究明を行う
トラブルに暫定対応ができたあとは、本格的な原因究明を行いましょう。
原因が特定・対処が完了した場合は、今回の原因と今後の対策について告知するのをおすすめします。
また、社内に対処法のノウハウを蓄積しておきましょう。
1つではなく、複数の対処法を用意するのが大切です。
4-3. 専門家への相談体制を整える
情報システム部が抱えるトラブル内容によっては、自社だけでは対応がスピーディに行えないケースもあります。
ひとり情シスを始めとして、IT人材の不足を実感した場合は専門家への相談体制を整えてみるのもポイントです。
より専門的なスキルを持った業者と提携すれば、自分たちで解決できる障害内容でも、専門家のコンサル意見を通してまた違った復旧方法を発見できるかもしれません。
4-4. 暫定対応のアウトソースも視野に入れる
ひとり情シスなど、情報システム部門の人材不足はトラブルに対する迅速な対応が難しくなってしまいます。
トラブル対応のできる担当が不在の場合など、情報システムを運営するうえで非常にリスクのある状態だと言えるでしょう。
そのようなときは、情報システム部門関連をアウトソーシングで管理してくれる業者へ外注するのもポイントです。
専門家の集うところへアウトソーシングすれば、人材不足や知識不足といった不安要素も払拭できます。
弊社「ト―タルITヘルパー」は専門知識を持つ167人がお客様のネットワーク問題、アカウント情報を共有し迅速に問題解決します。
年間17万件、過去100万件の事例解決の実績もございますので、細かな質問でもしっかり対応いたします。
また、高品質なサービスを低価格で提供しているのもポイントです。コストは1台3,000円からなので、たとえば50台の管理を申し込みいただいたとしても、年額180万円ほど。
IT人材を一人雇用するのと比較して、圧倒的なコストパフォーマンスを誇ります。
ひとり情シスでお困りのお客様や、社内ネットワークの情報を整理整頓したい等、お気軽にお問い合わせください。
5. まとめ
「なにかことが起きてから対処すればよい」といった考えは、情報システムのサービスを運営するうえで致命的です。
なかには自社の業務がストップするだけでなく、顧客に大損害を与えて訴訟まで発展したトラブル事例もあります。
そのため、情報システム部門でよくあるトラブル事例を把握して、それぞれのリスクヘッジ対策を取っておくことが大切です。
事前に対策を講じていれば短時間で復旧するシステムトラブルもあるため、会社の信頼問題に大きなダメージを与える前に、早め早めの対策を考案しておきましょう。