「運用と保守って、何がどう違うの?」
「ひとりの担当者が両方やっているけど、このままで大丈夫?」
そんな疑問を持つ情シス担当者や経営層は少なくありません。
結論からいうと、運用は「システムを止めずに動かし続ける業務」、保守は「不具合を防ぎ、直し、改修する業務」です。似ているようで目的も業務範囲も異なり、この違いがあいまいなままだと、責任範囲が不明確になりトラブル時の対応が遅れる原因になります。
本記事では、年間対応件数17万件超のサポート実績を持つ弊社が、情報システムの運用と保守の違いを一覧表で整理し、それぞれの業務内容や効率化のポイントまで解説します。
目次
1.情報システムの運用と保守の違い【一覧表で整理】

まず、運用と保守の違いを観点別に一覧表で整理します。運用は「平常時を守る定期的な業務」、保守は「異常時に対応する突発的な業務」と捉えると、両者の関係がつかみやすくなります。
| 観点 | 運用 | 保守 |
|---|---|---|
| 目的 | システムを止めずに動かし続ける | 不具合を防ぎ、直し、改修する |
| 業務の性質 | 定期的・計画的 | 突発的・イレギュラー対応が中心 |
| 主な業務 | 監視、バックアップ、問い合わせ対応 | 障害復旧、機器の修理・交換、改修 |
| 仕様の変更 | 原則行わない | 必要に応じて改修・変更する |
| 体制・契約 | 社内対応または運用代行 | ベンダーとの保守契約が中心 |
| 中小企業で起きがちな例 | 担当者が問い合わせ対応に追われ、監視が後回しになる | 保守契約の範囲を把握しておらず、障害時に慌てる |
両者は切り離された業務ではなく、「運用で異常の兆候をつかみ、保守で対処する」という連携関係にあります。それぞれの定義をもう少し詳しく見ていきましょう。
1-1.運用とは:システムを止めずに動かし続ける業務
運用とは、情報システムの稼働状態を維持し、社員やお客様がシステムを問題なく使い続けられるようにする業務です。
サーバーやネットワークを監視して異常の兆候を早めにつかみ、バックアップや定期メンテナンスでトラブルを未然に防ぎます。運用では、システムの仕様や構成の変更は原則行いません。決められた手順の中で「いつもどおり動いている状態」を守るのが役割です。
社員からの「パソコンが遅い」「プリンターがつながらない」といった問い合わせ対応も、広い意味での運用業務に含まれます。
1-2.保守とは:不具合を防ぎ、直し、改修する業務
保守とは、システムが本来の仕様どおり動くように、機能や品質を維持する業務です。
障害が起きたときの原因調査と復旧、故障した機器の修理・交換、不具合を解消するプログラムの修正など、「システムに手を入れて直す」対応が保守の中心です。運用との大きな違いは、必要に応じてシステムそのものを改修・変更する点にあります。
障害はいつ起こるか予測できないため、保守にはイレギュラーな事態に冷静に対処できる体制と、高度な技術力が求められます。
1-3.契約・働き方の違い
運用と保守は、契約形態や働き方にも違いがあります。
運用は日常的にシステムへ関わるため、社内の担当者が担うか、運用代行サービスへ委託する形が一般的です。一方、保守はハードウェアやソフトウェアの提供元ベンダーと「保守契約」を結び、不具合が起きたときに点検・修理・アップデートなどの対応を受ける形が中心になります。
エンジニアの働き方で見ると、運用は決まった環境に常駐して対応するケースが多く、保守は定期点検や障害発生時に駆けつける非常駐型のケースが多い、という傾向もあります。
ココがポイント
運用は「平常時を守る定期業務」、保守は「異常時に直す突発業務」。違いを理解して責任範囲を明確にすることが、トラブル対応スピードを左右する
2.情報システム運用の業務内容一覧

運用の業務は、大きく5つに分けられます。
- 監視業務(稼働状況・セキュリティの確認)
- 維持業務(バックアップ・計画的なメンテナンス)
- ユーザーサポート(問い合わせ対応・アカウント管理)
- 記録・報告業務
- 障害の一次対応
2-1.監視業務
監視は運用の起点となる業務です。サーバーやネットワークが正常に動いているか、不審なアクセスがないか、ディスク容量やメモリに余裕があるかを継続的に確認します。
異常の「予兆」を早くつかむほど、システム停止という最悪の事態を避けやすくなります。監視ツールで自動化しつつ、アラートが出たときに人が判断する体制を整えるのが基本です。
2-2.維持業務
システムを長く安定して使うための定期作業です。バックアップの取得・管理、計画的な再起動やメンテナンス、IT資産の構成管理などが含まれます。
特にバックアップは、「取得していたのに復元できなかった」を防ぐため、復元テストまで含めて運用することが大切です。
2-3.ユーザーサポート
社員がシステムを正しく使えるよう支援する業務です。操作方法の問い合わせ対応、入退社にともなうアカウントの発行・削除、マニュアルの整備などが該当します。
地味に見えますが、問い合わせ対応は件数が多く、運用担当者の時間を最も奪いやすい業務でもあります。FAQの整備や対応窓口の一本化など、効率化の工夫が効きやすい領域です。
2-4.記録・報告業務
日々の作業内容や障害の発生状況を記録し、定期的に報告する業務です。記録が残っていれば同じトラブルの解決が速くなり、属人化の防止にもつながります。
2-5.障害の一次対応
障害が起きた際、影響範囲の確認や原因の切り分けを行い、手順書に沿って復旧を試みるのが運用側の一次対応です。手順書で対応できない場合は保守の担当者やベンダーへ引き継ぐため、どこまでを運用が対応し、どこから保守へ渡すのかを事前に決めておく必要があります。
3.情報システム保守の業務内容一覧

保守の業務は、対象となるレイヤーごとに4つに整理できます。
- ハードウェア保守
- ソフトウェア保守
- アプリケーション保守
- リソース調整・チューニング
3-1.ハードウェア保守
サーバーやネットワーク機器、PCなど物理的な機器の点検・修理・交換を行います。
機器は経年で必ず劣化するため、故障してから慌てるのではなく、保守期限や耐用年数を把握して計画的に入れ替えることが重要です。老朽化した機器の放置は、突然のシステム停止に直結します。
3-2.ソフトウェア保守
OSやミドルウェアなどソフトウェア製品の不具合対応です。セキュリティパッチや修正プログラムの適用、バージョンアップ対応などを行います。
パッチの適用漏れはサイバー攻撃の侵入口になりやすく、「更新を後回しにしていた1台」から被害が広がるケースもあります。適用状況を一元管理する仕組みが欠かせません。
3-3.アプリケーション保守
業務システムやアプリケーションに不具合が出た際の、原因調査・修正・テストを行います。業務の変化に合わせた小規模な機能改修を含むこともあります。
自社開発のシステムか、パッケージ製品かで対応窓口が変わるため、システムごとに「どこへ連絡すれば直せるのか」を整理しておくとトラブル時に迷いません。
3-4.リソース調整・チューニング
システムの処理能力を保つための調整作業です。データ量の増加や利用者の増減に合わせて、サーバーのリソース配分やデータベースの設定を見直します。
「最近システムが遅い」という現場の声は、リソース不足のサインであることが多く、放置すると業務効率の低下や障害につながります。
4.運用と保守の兼任は可能?

結論として、兼任は可能ですが、原則は「運用者」と「保守者」を分けて配置するほうが安全です。
会社の成長とともにサーバー容量や管理アカウントなど対応範囲は確実に広がり、担当者に負担が集中するためです。特に保守は突発対応が必要で、少人数ではスピーディな復旧が望めず、業務システムが止まり大きな損失につながるリスクがあります。
企業損失を防ぐためにも、運用と保守はそれぞれ担当者を設けたうえで、複数人体制で対応するのがベストです。
ココがポイント
小規模だったとしても、運用と保守の担当を初期から分けることでノウハウが蓄積されやすくなる
5.運用・保守に必要なスキルと資格

運用・保守は資格がなくても担当できますが、業務の質を支えるスキルには共通点があります。
- タイムマネジメント力(定期業務を計画どおり進める)
- トラブル対応力(障害時に冷静かつ迅速に動く)
- PDCAを回す力(記録→分析→改善を継続する)
- コミュニケーション力(社員からの問い合わせに対応する)
体系的に知識を身につけたい場合は、資格の学習が近道です。入門なら「ITパスポート」や「基本情報技術者」、ステップアップなら「応用情報技術者」が定番です。保守やインフラ寄りの業務が多いなら、ネットワークやセキュリティ分野の資格も役立ちます。
6.運用・保守を効率化する4つのポイント
運用・保守の業務範囲は広く、すべてを人手でこなそうとすると負担が膨らみます。効率化のポイントは次の4つです。
- 定型作業を自動化する
- 重複している業務を統合する
- 障害時の役割分担を決めておく
- 外部委託(アウトソーシング)を活用する
6-1.定型作業を自動化する
監視やバックアップ、アラート通知などの定型作業は、ツールでの自動化に向いています。作業時間を減らせるだけでなく、確認漏れや操作ミスといったヒューマンエラーも防げます。まずは「毎日・毎週、同じ手順で繰り返している作業」から検討しましょう。
6-2.重複している業務を統合する
部署やシステムごとに似た監視・管理業務が分かれていると、その分だけ工数が重複します。運用業務を洗い出して共通部分をまとめましょう。複数システムの監視を1つの画面に集約するだけでも効果があります。
6-3.障害時の役割分担を決めておく
障害対応には、運用担当で解決できるものと、保守ベンダーへの依頼が必要なものがあります。「誰が一次対応するか」「どの段階でエスカレーションするか」が決まっていないと対応が遅れるため、異常の検知から復旧までの対応フローを平常時のうちに文書化しておくことが重要です。
6-4.外部委託(アウトソーシング)を活用する
運用・保守の負担が社内リソースを超えているなら、外部委託が現実的な選択肢です。
専門業者に任せれば、専任者を雇用するよりも低コストで、複数人体制の安定した運用を実現できます。担当者の退職による属人化リスクも避けられ、社内の人材はコア業務に集中できます。
●関連記事:情報システム部の業務をアウトソーシングできるか? →
7.運用・保守の負担はトータルITヘルパーが解決

「運用も保守もひとりで抱えていて限界が近い」「担当者が辞めたら回らなくなる」。そんな状況なら、情シス代行サービスの活用をご検討ください。
弊社「トータルITヘルパー」は、運用・保守を含む情シス業務を丸ごと支援するサービスです。
7-1.167人の専門人材が複数人体制でサポート
専門知識を持つ167人のスタッフが、お客様のネットワーク問題やアカウント情報を共有しながら、迅速に問題を解決します。年間17万件・過去100万件の対応実績があり、細かな質問にもしっかり対応します。
複数人体制のため、担当者の不在や退職で対応が止まる心配がありません。
7-2.PC1台あたり月額3,000円~で情シス業務を代行
情シス代行プランはPC1台あたり月額3,000円~。サーバーやネットワークの運用からトラブル対応まで幅広くカバーします。問い合わせ対応だけ任せたい場合は月額2,000円~のヘルプデスクプランもあり、必要な範囲から段階的に始められます。
ご要望を伺ったうえで、状況に合ったプランと解決策を提案します。
7-3.主なサポート内容
PCのキッティング設定、社内ネットワーク構築、VPN構築、サーバー環境の構築、ライセンスやアカウント情報の管理まで対応します。貴社の担当情シスが不在の場合でも、弊社にご連絡いただければ保守対応が可能です。
規定内であれば技術担当の訪問もできます。94%のお客様がコストダウンを実感しており、運用・保守の体制づくりとコスト削減を同時に進められます。
8.よくある質問(FAQ)
Q. 運用と保守はどちらか一方だけでも問題ない?
問題があります。運用だけでは障害が起きたときに直せず、保守だけでは異常の予兆をつかめません。両方がそろってはじめてシステムの安定稼働を維持できます。
Q. 「運用保守」とまとめて呼ぶのはなぜ?
中小規模のシステムでは、運用と保守を同じ担当者やチームが兼任するケースが多いためです。ただし兼任体制でも、業務としての違いと責任範囲は区別して整理しておく必要があります。
Q. 運用・保守を外部委託する場合の費用はどれくらい?
委託範囲によりますが、月額数万円程度から依頼できるサービスもあります。トータルITヘルパーの場合、PC1台あたり月額3,000円~の台数課金型のため、会社の規模に合わせて無理なく導入できます。
9.まとめ
情報システムの運用と保守は、「止めずに動かし続ける運用」と「不具合を防ぎ直す保守」という役割の違いがあります。違いを理解して責任範囲を明確にすることが、トラブル対応のスピードとシステムの安定につながります。
一方で、運用・保守の業務範囲は広く、少人数で抱え込むと属人化や対応遅れのリスクが高まります。自動化や業務の統合を進めつつ、負担が大きい部分は外部委託も組み合わせるのが現実的な進め方です。
「運用と保守の体制を見直したい」「担当者の負担を減らしたい」とお考えなら、トータルITヘルパーへお気軽にご相談ください。

