ヘルプデスク業務では、日々多くの問い合わせが寄せられ、その対応に追われることが少なくありません。
基本的な操作方法に関する問い合わせから不具合やエラーの解決など、問い合わせ内容も多種多様です。
ヘルプデスク担当者の負担が増えてしまい、本来着手するべき業務や重要な問題への対応が遅れてしまうこともあります。そのため、近年では「ヘルプデスクへの問い合わせ件数そのものを減らす」取り組みが重要です。
この記事では、ヘルプデスクの問い合わせを減らしたい方へ向けて、現状や課題を解説した上で、作業効率向上や負担を軽減する方法を解説します。これからご紹介する方法を取り入れて、よりスムーズな業務運営を目指しましょう。
ヘルプデスク業務の現状と課題

2024年10月、キヤノンマーケティングジャパン株式会社が情報システム部門の担当者108名を対象に「社内ヘルプデスク業務」に関する実態調査を行いました。(出典:情報システム部門の担当者の6割以上が社内ヘルプデスク業務の負荷を実感 業務の実態と負担軽減に向けた対応策を調査 | キヤノンマーケティングジャパン株式会社のプレスリリース)
調査の結果、現在の社内ヘルプデスク業務に課題を感じているかという質問に対し、「非常に感じている」(20.4%)、「やや感じている」(44.4%)と、全体の64.8%がヘルプデスク業務に課題を感じているという実態が明らかになりました。
その中から具体的な内容を調査したところ、回答率が50%以上となったのが以下の4つです。
- ヘルプデスク対応に時間を取られ、他の進めたい業務が進められない (62.9%)
- 特定のスタッフが休暇や退職した場合、対応が困難になる (57.1%)
- 人員不足により一人当たりの負担が大きい (55.7%)
- 問題が多岐にわたり、解決までの時間が長くなる (50.0%)
これらの調査結果から、ヘルプデスク業務に負荷をかけている大きな原因は、ユーザー(=社員) が自分自身で問題を解決できず、ヘルプデスクに対しての問い合わせが多くなってしまっているためだと考えられます。
ヘルプデスクへの問い合わせを減らす6つの方法

ヘルプデスク業務の負担を減らすためには、そもそもヘルプデスクへの問い合わせ件数自体を減らす取り組みが有効です。
ここでは、ヘルプデスクへの問い合わせる減らす手段として、6つの方法をそれぞれ解説します。
FAQを作成する
FAQ(よくある質問)の作成は、ヘルプデスクへの問い合わせを減らす上で効果的な方法のひとつです。
FAQを整備することで、ユーザーは自分で問題を解決できるようになります。「パスワードのリセット方法」「ソフトウェアのインストール手順」など、ヘルプデスクへ頻繁に寄せられる質問を網羅すれば、単純な問い合わせ件数を減らすことが可能です。
また、ユーザー自身も迅速に回答を得られるメリットがあります。
ただし、FAQを作成・活用すればヘルプデスクの負担を軽減してユーザーの満足度を向上できるものの、「定期的な更新が必要」「新しい質問や問題への対応」など、常に最新の情報を提供しなければなりません。
更新遅れなどによってFAQの信頼性が低下してしまうと、利用率が下がり、作成した労力だけが残ってヘルプデスクの問い合わせを思うように減らせない可能性が残ります。
チャットボットを導入する
チャットボットの導入も、ヘルプデスクへの問い合わせを減らすのに有効な手段です。
チャットボットは24時間365日対応可能であり、ユーザーがいつでも質問に対する回答を得られます。そのため、基本的なトラブルシューティングやパスワードリセットの手順など、よくある質問に対して即座に対応できるのがメリットです。
また、チャットボットはユーザーの問い合わせ履歴を記録し、データを分析することで、よくある問題を特定できるのも特徴です。FAQの改善や新たなサポートコンテンツの作成に役立てられます。
ただし、チャットボットで対応できない複雑な問題は適切なヘルプデスク担当者からサポートを受ける必要があります。その場合は問い合わせ窓口にエスカレーションする仕組みを設けることが重要です。
FAQやチャットボットの利用率を高める
すでにFAQやチャットボットを導入していても、ユーザーに使われていないケースも珍しくありません。ユーザーからの認知度を上げる方法を考え、利用率向上を目指さなければ、ヘルプデスクへの問い合わせ件数を減らすことはできません。
具体的には、以下のような方法があります。
- FAQやチャットボットの存在を周知する
- 操作マニュアルを用意して敬遠していたユーザーの敷居を下げる
- 常に最新の情報へ更新することで信用性の高いツールとして認識してもらう
- 見た目や検索方法など、操作性を改善して使いやすくなる工夫をこらす」などがあります。
施策は活用されなければ意味がないため、ヘルプデスクへの問い合わせ件数を減らすためにも、利用者の目線に立って考えることが重要です。
問い合わせ管理システムを導入する
問い合わせ対応の進捗状況を把握するため、「問い合わせ管理システム」を導入することも検討してみましょう。問い合わせ管理システムを導入すれば、さまざまな部署からの問い合わせを一元管理することが可能です。
「未対応」、「対応中」、「解決済み」といった進捗ステータス管理が容易なので、ヘルプデスク担当者の対応漏れや重複対応といったトラブルも回避できます。
社員教育を強化する
ヘルプデスク担当者への教育体制はもちろん、システムを利用するユーザー自身の知識や技術を向上させる社員研修も重要です。FAQやチャットボットを充実させたとしても、それを操作するユーザー自身の知識がないために、活用できなかったというケースも珍しくありません。
ヘルプデスク担当者が専門知識や技術を身に付けたり、使用者にとっての使いやすさを意識したりすることも大事ですが、ユーザー側の教育体制を強化するのもポイントです。
ヘルプデスク業務の効率化やユーザー自身のスキルアップ・業務効率の向上といったさまざまなメリットを得られるため、ヘルプデスクへの問い合わせを減らす有効な一手となります。
ヘルプデスク業務を外注する
ヘルプデスク業務の負担を減らすためには、外部業者への委託も選択肢に挙がります。
専門性の高い内容は社内で行う必要がありますが、問い合わせの多いトラブルやマニュアルを見ながら回答できる内容、基本的な操作などに関する問い合わせであれば、外部の委託業者に任せることも可能です。
外部に委託するため形式上コストはかかりますが、社内ヘルプデスク業務の担当者が、本来着手するべき業務に取り掛かることができます。生産性向上に寄与するため、優れた費用対効果を期待できるのがポイントです。
ヘルプデスクへの問い合わせを減らすメリット

負担が大きくなりがちなヘルプデスクへの問い合わせ件数を削減できれば、さまざまなメリットが期待できます。
ここでは、ヘルプデスクへの問い合わせ件数を減らすことによるメリットを3つ解説します。
人件費を削減できる
記事の冒頭で紹介した調査結果でも公開されていますが、ヘルプデスク業務には多くの時間が割かれています。ひとつの問い合わせに対して、担当者が何時間も拘束されてしまい、その間また問い合わせが滞留してしまう事例も珍しくありません。
言い換えれば、ヘルプデスクへの問い合わせを減らすことは、担当者の負担軽減に直結します。
担当者一人ひとりの負担を減らし、リソースを有効に活用できるようになれば、適切な人的コストでの運用も可能です。担当者の負担が減ることで、疲弊に伴う離職や休職による人手不足という悪循環を断ち切るメリットにもつながります。
対応品質が向上する
ユーザーがFAQやチャットボットを利用して自分で解決できるようになれば、ヘルプデスク業務の担当者はより複雑な案件に注力できます。
1つあたりの問い合わせに丁寧に対応する余裕が生まれるため、対応品質の改善や向上を図ることが可能です。
また、時間的余裕を利用してFAQやチャットボットを改善・更新することで、信頼性を高く維持しやすくなるメリットもあります。
従業員満足度が向上する
ヘルプデスクに問い合わせをするユーザーは、パソコンやシステムが使えなくて困っていることが多くなっています。問い合わせの対応が遅ければ、その分だけ業務がストップしてしまい、ユーザーが大きな不満やストレスを感じてしまうのも事実です。
そのため、FAQやチャットボットによる回答の充実や、ヘルプデスクの迅速な対応は、ユーザーの働きやすさを向上させる重要な要素です。
不要な問い合わせの件数を削減できれば、本当に助けが必要なユーザーに対し、迅速で手厚いサポートを提供することが可能となります。
つまり、「単純なトラブルにはFAQやチャットボットで迅速な解決」「難解なトラブルはヘルプデスク担当者による密なサポート」といった使い分けができるため、問い合わせ件数の削減でリソースを最適に振り分けられるようになるのがメリットです。
ヘルプデスクへの問い合わせを減らす際のポイント

ヘルプデスクへの問い合わせ件数を削減するメリットや方法があるとはいえ、ただなんとなく実施するだけでは、十分な効果を得られない可能性もあります。そのため、ヘルプデスクの問い合わせ対応を効率化したい場合は、以下の3点を押さえることが大切です。
- 問い合わせが多い理由を分析する
- 現場の意見を反映する
- 定期的に効果測定を行い、改善する
これから紹介する3つのポイントを踏まえ、効果的な問い合わせ件数の削除を実現しましょう。
問い合わせが多い理由を分析する
ヘルプデスクの問い合わせを削減するためには、まず「なぜ問い合わせの件数が多いのか」に焦点を当てることが重要です。
「FAQに掲載されている内容だが、ヘルプデスクへ問い合わせがくる事が多い」や、「営業部のユーザーから、特定のソフトウェアの操作方法に関する問い合わせが多い」など、誰が、どのような内容の問い合わせをしているのかを分析することで、優先的に取り組むべき課題や問題点を見定めましょう。
問い合わせの多い内容を、ユーザー自身が解決できる仕組みを作ることができれば、問い合わせ件数を大きく削減できる可能性があります。
現場の意見を反映する
問い合わせの削減を実現するためには、FAQやチャットボットを管理している側ではなく、実際に現場でシステムを利用するユーザーの意見をくみ取った上で検討しましょう。
問い合わせの多い原因として、ヘルプデスク業務を行っている側からは見えない、現場ならではの事情がある可能性を考慮する必要があります。
ヘルプデスク業務の担当者だけではなく、システムを利用するユーザーにとっての使いやすさ、わかりやすさに目線を合わせることが重要です。
定期的に効果測定を行い、改善する
FAQやチャットボットを始め、システムの導入や改修後は必ず効果測定を行って、定期的なデータ分析と改善を繰り返し行いましょう。
一度実施して終わりではなく、「定期的な振り返り」「現状の課題を発見」「改善・解決する」というサイクルの継続が、効果的な問い合わせ件数の削減につながります。
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ヘルプデスク業務における問い合わせ件数の削減に関する方法や、それらを効果的に実施するポイントを解説しました。
FAQやチャットボットの充実や、問い合わせシステムの導入で、問い合わせ対応の負担は大きく削減できる可能性があります。問い合わせ内容を分析し、そのデータを元に効果的な対応策を実施して、対応品質や満足度の高いヘルプデスクを実現しましょう。
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