現代のビジネス環境において、顧客満足度の向上と効率的な問題解決は、企業の成功に欠かせない要素です。そこで、顧客をサポートするためにヘルプデスクの構築が求められています。
本記事では、ヘルプデスクを初めて導入する方や、ヘルプデスクの環境を構築したい方向けに、ヘルプデスク構築について詳しく解説します。
すでに運用中のヘルプデスクをさらに効率化するための方法や、アウトソーシングのメリット、社内での構築とアウトソーシングの比較についても解説しますので、効果的なヘルプデスクの構築・運用を目指す方も、ぜひご覧ください。
ヘルプデスクを構築する方法とは

ヘルプデスクとは、企業が顧客や従業員からの問い合わせや問題を迅速に解決するための重要な窓口です。
そんなヘルプデスクを構築するときは、「社内ヘルプデスク」「社外ヘルプデスク」のどちらを導入するかはじめに検討する必要があります。社内でヘルプデスクを構築する場合は、ヘルプデスク専用部署や、人材を確保しなければなりません。
一方で、信頼できる外注先であればヘルプデスクを社外にアウトソーシングするのもポイントです。社外ヘルプデスクなら、自社の人的リソースを最小限に抑えてヘルプデスク環境を構築できます。
ここでは、ヘルプデスク環境を「社内・社外」で構築する違いについて解説します。
社内で構築・運用していく
社内でヘルプデスクを構築・運用する場合、企業は自社のリソースを活用してヘルプデスクを設置します。社内で構築・運用するメリットは、企業が直接管理・運営するため、サービスの質や迅速な対応といったコントロールがしやすい点です。
また、社内の他部門との連携がスムーズに行えるため、問題解決のスピードも向上します。
一方で、社内での構築・運用には多くのリソースが必要です。専任のスタッフを配置し、必要な設備やシステムを整えるための初期投資がかかります。また、運用中もスタッフの教育やシステムのメンテナンスが必要となり、継続的なコストが発生します。
メリット
- 直接管理できるため、迅速な対応やコントロールがしやすい
- 他部門との密な連携を行いやすくなる
デメリット
- 専任のスタッフや設備を整えるための初期投資が必須
- 人材の教育やシステムのメンテナンスなど、継続的なコストがかかる
社外にアウトソーシングする
社外にアウトソーシングしてヘルプデスクを構築する場合、専門の外部業者にヘルプデスク業務を委託します。社外にアウトソーシングする最大のメリットは、専門業者のノウハウやリソースを活用できる点にあります。
アウトソーシングをすれば、かかるのは金銭的なコストだけで、社内の人的リソースなどをほかの重要な業務に集中させられるのがポイントです。初期投資・運用コストも抑えられる事例が多く、特に中小企業において、社外にヘルプデスク環境を構築するのは魅力的な選択肢とも言えます。
また、委託業者によっては、ヘルプデスクの構築から日々の運用まで、委託したい範囲のすり合わせ・相談も可能です。
しかし、ヘルプデスクの構築を外部業者に依存するため、サービスの質や対応の迅速さに影響が出る可能性があります。また、ヘルプデスク対応のノウハウも蓄積できません。
メリット
- ノウハウのある事業者に一任できるため、一定以上のサポートを期待できる
- 社内の人的リソースを重要な業務にフル活用しやすくなる
- 社内で構築するのに比べて、初期投資・運用コストが抑えられる
デメリット
- 社外にヘルプデスクを構築すると、ランニングコストがかかる
- ヘルプデスク構築のノウハウを社内に蓄積できない
ヘルプデスクの構築はどちらを選ぶべき?
ヘルプデスクを構築する際は、自社内で構築する方法とアウトソーシングする方法のどちらを選ぶべきか、慎重に検討する必要があります。どちらの方法を選ぶべきかは、企業の状況やニーズに応じて異なりますが、主な判断基準としては以下の項目が挙げられます。
- 業務量や工数の規模で検討する
- 構築にかかるコストで比較する
- 配置できる人材や人数で決める
- 問い合わせの内容や領域に合わせて決める
ここでは、ヘルプデスクの環境を社内・社外どちらで構築すべきか、選び方を解説します。
業務量や工数の規模で検討する
まずはヘルプデスクが対応する業務量や工数の規模から、以下の点を考慮しましょう。
- 問い合わせ件数が多いと想定される:アウトソーシングなら負荷の増加や利用者の増加に対しても柔軟に対応可能
- 業務や対応工数が複雑:複雑な問題が頻発する場合、専門知識を持つアウトソーシングが適している
問い合わせ件数がそれほど多くない…社内でヘルプデスク環境を構築する余裕があれば選択肢に上がる
構築にかかるコストで比較する
社内構築とアウトソーシング、それぞれにかかるコストも重要な判断基準となります。
- 初期投資:社内構築の場合、システム導入やスタッフのトレーニングなど初期導入費用が必要
- 運用コスト:アウトソーシングは月額費用が発生するが、社内構築に比べて運用コストが安定しやすく見通しが立てやすい
- 隠れたコスト:社内構築では、予期せぬトラブル対応や、システム更新・機器更新に追加コストが発生する可能性がある
配置できる人材や人数で決める
ヘルプデスク業務を行う人材の確保も重要な要素です。
- 専門知識の有無:社内に専門知識を持つスタッフがいない場合、アウトソーシングが有利
- 人材の確保:ヘルプデスク業務に専任できる人材が少ない場合、アウトソーシングが適している
- トレーニングの必要性:新たにスタッフをトレーニングする時間とコストを踏まえ、アウトソーシングと比較
問い合わせの内容や領域に合わせて決める
最後に、もっとも重要なのが問い合わせ内容や領域の選択です。
- 技術的な問い合わせ:高度な技術サポートが必要な場合、専門知識を持つアウトソーシングが適している
- 多言語対応:多言語対応が必要な場合、対応可能なアウトソーシング先を探す必要がある
- 業界特有の知識:特定の業界に特化した知識が必要な場合、社内構築が有利な場合がある
ヘルプデスクを社内で構築するか、アウトソーシングで構築するかは、自社の状況を振り返ることが大切です。どちらを選ぶにしても、企業のニーズとリソースにもっとも適した方法を選びましょう。
ヘルプデスクの構築に必要なものとは

ヘルプデスクの構築には一定のコストがかかります。そのため、ヘルプデスク構築を自社とアウトソーシングのどちらで行うべきか頭を悩ませている方も少なくありません。
ここでは、必要となる設備や環境について解説します。
電話設備(コールセンターシステム)
ヘルプデスク構築の中心が電話設備であり、顧客からの問い合わせを効率的に処理するためにも不可欠な設備です。
電話設備では、「通話の録音機能」「通話の転送機能」「IVR(自動音声応答)システム」などの機能により、問い合わせの迅速かつ正確な対応が可能となります。
設置する電話機には大きく分けて3種類あり、企業規模によって適切な物が異なります。
電話機の種類 | 推奨規模 |
---|---|
家庭用電話機 | ・オペレーターが5名以下(目安)・電話の利用頻度が低い・内線や取次ぎを使用しない・とにかく安価に電話機を使用したい |
ビジネスフォン | ・オペレーター数が5名以上・電話の利用頻度が高く、複数名が同時に使用する場合がある・複数拠点があり、内線通話の利用頻度が高い・オフィス移転やスタッフ増減の予定がない |
コールセンターシステム | ・安価に電話システムを導入したい・オペレーターが増減する予定がある・在宅コールセンターを導入したい・コールセンターのデータを収集、分析したい |
PC環境
ヘルプデスク担当者がデータ管理やWEB応対といった業務を効率的に行うには、ある程度のスペックを確保したPCが必要です。また、セキュリティ対策も重要であり、ウイルス対策ソフトやファイアウォールの導入も考慮する必要があります。
高性能なPCであれば、複数のアプリを同時に使用して作業を行う場合でも、処理速度の低下を抑えて充分なパフォーマンスを確保できるのがポイントです。PC環境の整備にコストは掛かってしまうものの、その分だけ生産性・対応力を大きく高めて企業としての競争力を伸ばせます。
導入するPCは価格と性能のバランスを見て判断することが重要です。
ヘッドセット等の周辺機器
ヘルプデスク業務には、ヘッドセットなどの周辺機器も重要です。高品質なヘッドセットなら、クリアな音声通話を実現し、長時間の使用でも快適に作業を続けられます。さらに、ノイズキャンセリング機能付きのヘッドセットなら、周囲の雑音を抑えて業務に集中して取り組むことが可能です。
あわせて、キーボードやマウスなどのPC周辺機器も、使いやすいモノを導入することで作業効率のアップ・生産性向上といった効果が期待できます。ヘルプデスクの環境を構築するときは、各機器の性能を踏まえたうえで導入することが大切です。
安定して早い速度が出るインターネット回線
大人数が一度にヘルプデスク対応を行うと、回線に負荷がかかり遅延が起きやすくなるため、ヘルプデスク業務においてインターネット回線の速度と安定性は非常に重要です。
特に、ビデオ通話やオンラインチャットを利用する場合には、回線の品質がサービスの質に直結します。
インターネット回線の不具合が発生すると、ヘルプデスクのサポートを提供できなくなってしまうリスクも否定できません。トラブルを回避するために、緊急時のバックアップ回線を用意しておけば、万が一のトラブルにも迅速に対応できます。
ヘルプデスク対応スタッフ
ヘルプデスク業務を行う担当者も、環境の構築に欠かせない要素のひとつです。ヘルプデスクの担当者は、顧客対応のスキルや専門知識を持っていることが求められるだけでなく、定期的なトレーニングや研修を行い、知識やスキルを更新・向上し続けなければなりません。
また、ヘルプデスク業務は、直接的な利益や実績を数字で表すことが難しい部門です。適切な評価や報酬制度の導入など、スタッフのモチベーションを維持する環境づくりにも取り組む必要があります。
対応力や知識をある程度持っている人材がいない場合は、新たに雇用する手間・教育などのコストが掛かります。モチベーションを維持できるような環境を構築しなければ、人材の雇用等で総合的なコストがかさんでしまうため、環境整備が難しい場合は外注も選択肢のひとつです。
CRM
CRM(顧客関係管理)システムとは、顧客情報を一元管理し、顧客対応を効率化できるツールです。顧客の問い合わせ履歴や対応状況をリアルタイムで把握でき、顧客のニーズや傾向を分析して、より効果的なサポートの提供が可能になります。
また、異なる担当者同士でも顧客の対応をスムーズに引き継げるため、顧客満足度を高める効果が期待できるのもポイントです。マーケティングや営業活動にも活用できるため、企業全体の業務効率向上が期待できます。
CTI
CTI(コンピュータ電話統合)システムは、電話とコンピュータを連携させる技術です。CTIシステムを導入すれば、顧客の電話番号や過去の問い合わせ履歴を自動的に表示できるため、迅速かつ的確な対応を実現できます。
さらに、通話の録音や分析機能を活用してフィードバックすれば、ヘルプデスクのサービス品質を向上させる効果も期待できます。CRMシステムと連携させることで、より効果的な顧客対応が実現可能です。ヘルプデスク環境を構築するうえで、CRMとCTIは欠かせない存在だと言えます。
遠隔制御システム
遠隔制御システムは、顧客のPCやデバイスにリモートでアクセスして問題を解決するためのツールです。問題が起きているPCを直接操作すれば、不具合の調査や操作説明など、迅速な対応が可能となり、顧客満足度の向上にも繋がります。
問題が起きているデバイスをスタッフが直接操作できるため、顧客側のIT関連の知識に左右されない点が特徴です。技術的な問題や設定のトラブルなど、口頭説明での解決が難しい問い合わせに対して特に効果を発揮します。
ただし、相手デバイス内の情報を閲覧できてしまうため、セキュリティ対策の徹底や、顧客のプライバシー保護が重要です。
ヘルプデスクを構築するならアウトソーシングもおすすめ
ヘルプデスクを社内で構築する場合、労力とコストが大きな課題です。特に専門知識を持つスタッフの確保やトレーニング、システムの導入と維持管理には多大な時間と費用がかかります。
低コストで高品質なヘルプデスクを構築したい場合は、アウトソーシングを活用した外注がおすすめです。
アウトソーシングするメリット
ヘルプデスク構築のアウトソーシングには以下のようなメリットがあります。
- コスト削減:社内ヘルプデスクを運用するための人件費や設備費よりもコストを抑えられる可能性がある
- 専門知識の活用:初めから豊富な経験やノウハウ、専門知識を持った人材の高品質なサポートが受けられる
- スケーラビリティ:企業の成長に応じ、サポートの規模を柔軟に調整できる
- コア業務への集中:企業の主要業務にリソースを集中させることにより生産性の向上に繋がる
- リスクヘッジ:退職リスクや後任採用のリスク、情報のブラックボックス化を回避する
アウトソーシングの費用相場
アウトソーシングでヘルプデスクを構築する場合の費用形態としては、「月額固定型」と「従量課金型」があります。また、サービス形態としては常駐型、リモート型、ハイブリッド型があります。
アウトソーシングの費用は、サービスの範囲や規模によって異なりますが、一般的な費用相場は以下の通りです。
サービス内容 | 月額費用(円) |
---|---|
社内ヘルプデスク | 50,000~200,000 |
テクニカルサポート | 100,000~1,500,000 |
総合窓口 | 150,000~350,000 |
アウトソーシングの手順や流れ
アウトソーシングを行う際の一般的な手順は以下の通りです。
- ニーズの確認:自社のヘルプデスクに必要なサービス・業務委託の内容を明確にする
- プロバイダーの選定:複数のサービスプロバイダーから見積もりを取り、比較検討する
- 契約の締結:選定したプロバイダーと契約を結ぶ
- 導入準備:プロバイダーと協力してシステムの設定や、スタッフとの打ち合わせなどを行う
- 運用開始:ヘルプデスクの運用を開始し、定期的なレビューと改善を行う
アウトソーシング先の選び方とポイント

ヘルプデスクをアウトソーシングで構築する場合は、適切なパートナーを選ぶことが大切です。信頼関係を構築できる外注先選びこそ、成功の鍵となります。以下のポイントを考慮し、自社に最適なアウトソーシング先を見極めましょう。
- 豊富な実績と求める対応力があるか
- 適正かつ抑えたコストで依頼ができるか
- 対応範囲はどこまで可能なのか
ここでは、アウトソーシングでヘルプデスク環境を構築する場合の選び方について解説します。
豊富な実績と求める対応力があるか
まずはアウトソーシング先の企業に豊富な実績があるか、柔軟な対応力を持っているかを見極めることが重要です。過去の実績をもとに同業種での導入実績などをチェックして、自社の商材・サービスやトラブルに造詣が深いかを確認しましょう。
- 実績の確認:過去のプロジェクトやクライアントの評価をチェックし、信頼性を確認する
- 専門知識:自社の業界や特定の技術に精通しているかを確認する
- 対応力:迅速かつ柔軟に対応できる体制が整っているかを評価する
適正かつ抑えたコストで依頼ができるか
単に安いだけでなく、適正かつ抑えたコストで高品質なサービスを提供できるかを見極めることが大切です。単価が安いサービスは、その分だけどこかで無理をしているため、肝心の品質に問題があったり、サポート体制が整っていなかったりする可能性があります。
- 見積もりの比較:複数のアウトソーシング先から見積もりを取り、コストパフォーマンスを比較する
- 隠れたコスト:オプション等の追加費用や隠れたコストがないかを確認する
- 契約内容:契約内容が明確で、コストに見合ったサービスが提供されるかを確認する
対応範囲はどこまで可能なのか
アウトソーシング先が対応できる範囲の確認も重要なポイントです。思っていたよりもサービス範囲やトラブル対応が遅い場合は、ヘルプデスクを構築したメリットが薄くなってしまいます。
- サービス範囲:提供されるサービスの範囲が自社のニーズに合っているかを確認する
- サポート体制:メールだけでなく、電話や訪問などサポート体制を確認する
- 24時間サポート:24時間365日のサポートが必要な場合、その対応が可能かを確認する
まとめ
以上、ヘルプデスクの構築や効率的な運用について、社内での設置とアウトソーシングを交えて解説しました。
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